|
「予約制にしたんだけど、なんかうまくいかないんです。どうしたらいいですか?」と、
知り合いの美容師さんからの質問。
う〜ん、何がうまくいかないのか分かりませんが、確かに予約制に関してはいろいろ問題がありますね。
サロンの規模や料金の違いで、問題の内容も変わってくると思いますが、、、
まず、『人気店』とそうでない『普通店』では予約の受け方が根本的に違うので、そこは知ってた方が良いです。
○『人気店』・・・お店が受付可能な人数よりも、予約希望のお客様の方が多いお店。
この場合は、お客様の予約時間をお店が決める事が出来ます。
もちろん先着順に予約表を埋めていくと思いますが、予約表が埋まっていくにつれて、
お客様は希望の時間が取りづらくなり、お店が伝えた時間に合わせて予約を取る様になってきます。
当日の予約がいっぱいになれば、翌日以降に回すようになり、超人気店では3ヶ月待ちというのも耳にします。
キャンセルが出ても、キャンセル待ちのお客様に連絡すれば、すぐにその穴も埋める事が出来ます。
○『普通店』・・・予約のお客様だけでは客数が足りないので、フリー(飛び込み)のお客様も受けるお店。
この場合、お客様は希望する時間帯を選ぶ事が容易ですが、同じ時間帯に予約が集中した時に問題がおきます。
希望の時間帯が取れなかったお客様は「じゃ、いいわ」と、帰ってしまい、その分の売上が無くなってしまいます。
他にも、もうすぐ予約のお客様が来られる時間なのに、そんな時に限ってフリーのお客様が来たりもします。
これを断ってたら売上は上がりませんので、時間がずれ込む事が分かってても受けざるを得ないのです。
ざっくり言うと、『人気店』はお店が予約時間を決める、『普通店』はお客様が予約時間を決めるという事です。
まず、これを頭に入れといて下さい。
さて本題の、予約制がうまくいかないという問題ですが、3店舗のお店を例にあげて問題を探していきましょう、
A店、B店、C店、それぞれ架空のお店ですが、規模と営業時間は同じで料金だけが違うとします。
そうですね、広さは15坪、スタッフ数3名、営業日数25日、営業時間は8時間とし、
サロン維持に各店とも月間150万の売上が必要とします。
料金の違いを客単価に表すと以下のような表になり、1日に必要な客数が分かりました
|
|
1日に必要な売上 |
客単価 |
1日に必要な客数 |
営業時間÷客数 |
A店 |
¥60,000 |
¥10,000 |
6名 |
80分 |
B店 |
¥60,000 |
¥5,000 |
12名 |
40分 |
C店 |
¥60,000 |
¥2,000 |
30名 |
16分 |
|
A店から見ていきましょう。
A店はちょっと高め料金のサロンですね、1日にたった6名のお客様が来れば営業が成り立ちます。
高単価のお客様を6名も集めるという大変さはありますが、お客様からの支持が高ければ可能でしょう。
もし、1日に6名以上の予約希望者があるなら、人気店と見る事が出来ます。
予約のスパン(間隔)も80分あるので、お客様の遅刻やメニュー変更などがあっても十分に対応可能だと思います。
集客さえ出来れば、予約制にしても問題ないと思います。ただ、月間150万の売り上げを更に上げようとすると、
客数を増やさないといけないので、次のB店と同じような現象が出て来ると思います。
次にB店です。
この店は客単価が¥5,000で、1日12名のお客様が必要です。ここで気になってくるのが、
「毎月、毎日、12名のお客様で予約表を埋める事が出来るだろうか?」という事です。
人気店なら可能でしょうが、一般的には難しいと思います。
仮に、頑張って6名の予約を取ったとしても、あと6名必要です。
そうなると、予約無しのフリーのお客様(飛び込みのお客様)を積極的に入れ込まないといけません。
もうすぐ予約のお客様が来ると分かってても、今、フリーのお客様が来れば、受けないと売上が足りません。
アシスタントにシャンプーやマッサージで時間を稼いでもらったり、メニューの順番を入れ替えたりして、
予約表の隙間に、フリーのお客様を強引に入れ込む経験された技術者の方も多いのではないでしょうか?
予約のお客様だけでは売上が足らないので、隙間にフリーのお客様を入れ込まないといけない。
このような状況のサロンは結構多く存在すると思います。これを解決する案は私は持っていませんが、
「うちは、こういうお店(時間のずれが生じる)ですよ」と、お客様に納得していただく事が重要だと思います。
美容業界では「予約優先制」という言葉をよく見かけます。私達美容師は、
優先という言葉が入っただけで、「予約を頂いたお客様は、フリーのお客様より優先してご案内致します。
でも、フリーのお客様も合間に担当致します」と、とらえると思いますが、
お客様は「予約制」も「予約優先制」も同じにとらえる方がほとんどで、
「予約したんだから時間通りに出来るはず」と思っています。
この違いをはっきりと、日々の営業の中で伝えて行く事が大事だと思います。
以前福岡市で営業してた時は、
予約の電話を頂いた時は必ず以下の言葉を加えるようにスタッフに義務付けていました。
「ご予約ありがとうございます。当店、完全予約制ではありませんので、多少のお時間のずれが生じる事がありますが、よろしくご了承お願いいたします」と、こうやってお客様に理解を求めていました。
さて、次はC店ですが、
この店は予約制にしてはダメです。30名のお客様を時間通りに進めるのは物理的に無理で、
1人のお客様を16分で終わらせる事なんて出来ないし、16分スパンでずらして担当しても、
同時刻内に複数名担当するようになります、3名のスタッフで回していくのはかなり大変なので、
予約制ではなく順番制が良いと思います。
イメージとしたら、待合スペースに常に数名のお客様が待っていて、お客様が1人終わったら、
即、次のお客様をご案内するような状況になると思います。
客単価¥2,000というサロンは、価格でサービスをしている事になりますので、
その他のサービスが手薄になる事を、ある程度理解して頂いても良いかと思います
まぁ、こんな感じで、料金が違うだけでも問題点が変わってきます。
高単価にすれば、上記のような問題も減ってくると思うのですが、
そうすると、集客が難しくなるし、、、新たな問題も出てくるかもしれません。
現時点では、完璧な予約制を実行できる案は、私にはありませんし、
またそれを改善する情報も入って来ていません。
自分のお店の営業システムを、コツコツとお客様に伝えていくのがベストではないでしょうか?
|
|
|
|
Copyright(C)2013 美容室クーパー All rights reserved |
|