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美容師の日常(仕事編)

 
2020/04/27 - 美容室オーナーさんからの質問・・・時間外受付をするとスタッフが嫌そうにするんですが?
 

答え・・・はい、それが普通の反応だと思います。

オーナーになると見えなくなる事、歳をとるにつれて見えなくなる事ってあるような気がします。アシスタント時代を思い出してみましょう、当時のオーナーや店長の言葉に「えっ!うそだろ!」と思った事ありませんか?また当時の先輩方から「この頃の若い子はね〜」なんて、あきれ顔された事ありませんか?私にはたくさんの心あたりがあります。

つい先日の話ですが、ディーラーさんとこんな会話を交わしたんです。

私・・・カラーの輪転講習の件だけど、○月○日の定休日にサロンまで来てくれる?
ディーラー・・・えっ、お休みの日でいいんですか?

私・・・普通、そうじゃないと?
ディーラー・・・いえ、この頃は休日に講習会を入れるとスタッフさんが嫌がるサロンさんが多くて、、、

私・・・へぇ〜、そうなん。
ディーラー・・・じつはですね、労働基準監督署から注意を受けたサロンさんもあるんです。

私・・・えっ、なんで、何かしでかしたと?
ディーラー・・・閉店後のレッスンは深夜残業だって、労働基準監督署に電話したスタッフさんがいたんです。

私・・・えっ、うそ、自分の勤務先を訴えたと?
ディーラー・・・はい、今はそういう時代のようです。

嘘のような話ですが、実際にあった事です。

ちょっと、私のアシスタント時代の労働環境を思い出してみます。

・定時終了なんてありえない、毎日が1時間前後のサービス残業。
・さらに、それから2時間レッスンが週2回。
・チラシ配りは、早朝、もしくは休日。
・月1回のセミナーは休日に実施。
・サロン推奨の講習会も休日、しかも実費。

こんな環境でしたが、これが普通だと思ってました。

以前、福岡で仕事してた時、スタッフ教育に携わっていた事があります。サロン内セミナーでスタッフの士気を高めようと思って、「私が若いころは、こんな環境で頑張りましたよ」って昔の話をしたんですが、全くの逆効果で、若いスタッフには困惑の表情しかありませんでした。精神論だけでは現代の若いスタッフを納得させる事は出来ないようです。
当時、私は良い指導方法を見つける事が出来なくて、スタッフがやる気を出すようにと、いろんな事をやってみました。

@早朝予約でやってみた事・・・早出スタッフに早朝料金を全額バック

当時は、早出出勤がよくありました。結婚式にお呼ばれのお客様等で、メニューはセットメイクが主です。お店の開店時間はAM10:00でしたが、結婚式に間に合わせるには、もっと早くスタートしないと間に合いません。1〜2時間の早出が普通、早い時は4時間早出という事もあります。それまでは早朝料金というものはお客様から頂いておらず、セットメイクの料金を定価で頂いていました。ここを改めて、早朝料金を頂くようにしました。金額は30分ごとに500円です、9時のご予約でプラス1,000円、8時のご予約でプラス2,000円、7時のご予約でプラス3,000円、、というように。そして、この早朝料金全額を早出したスタッフにバックしたのです。技術者1人で早出すると全額その技術者へ、アシスタントも手伝って2人で早出すると、半分ずつ均等割りしていました。こうする事でスタッフの早出に対する不満は少し減ったような気がします。

私が早出をした時に、アシスタントをしてくれたスタッフには、始業前にコンビニに連れて行って、朝食やおやつをおごっていたのですが、そのうち、お客様は1人なのにアシスタントが3人もヘルプに付いてくれたりして、もうピクニック気分でコンビニに行くのですが、これはこれで楽しかったです。

A時間外受付でやってみた事・・・受付時間を過ぎたお客様の場合、受けたスタッフが1人でやれ

サロンの閉店時間はPM8:00。パーマやカラーのラストオーダーはPM6:00で、この時間までにお客様が来店されれば、このお客様が終わるまで、全スタッフお店に残っています。たとえ、時間が長引いて閉店時間を過ぎてもです。これは普通の事だと思いますが、では、ラストオーダー以降にお客様をお受けした場合はどうでしょうか?

技術者によっては、ご指名のお客様や、なじみのお客様のちょっとした無理を断る事が出来ず、時間外に受付する事がしばしばありました。当然、終わりの時間は遅くなり、それに付き合わされる他のスタッフは良い気はしません。不満もたくさん出て来るようになってきたところで、1つのルールを作りました。

受付時間を過ぎたお客様をお受けした場合、受けたスタッフが1人で責任を持って担当するというルールです。
・アシスタントや他のスタッフをヘルプに使ってはいけない、全部1人で担当する。
・閉店時間になったら掃除を始める事を、お客様に了解頂く。
・残業する事を責任者に伝え、最長2時間までとする(責任者は最後まで付き合う事)

技術者が時間外にお客様を受け付ける、という行為はとても良い事だと思います。お店の売り上げも上がりますし、技術者にとっては個人売上が上がり、給与が上がります。また、お客様の信頼を得る事で、将来の自分のお店のお客様になってくれる可能性も高くなります。ですが、それによって、周りのスタッフの時間を取り上げる事は非常に無駄な事です。

心配だったのは、お客様に与える印象です。「まだサロン内にいるのに掃除を始めるのは失礼ではないか?」という不安もあったのですが、余計な心配だったようで、お客様にしてみれば「私の為に皆さんが帰れないのは申し訳ない、こちらの方が気が楽です」というお言葉を頂きました。

私は、美容師の課題だと思って、ずっと取り組んで来たものがあるのですが、どうしても出来ない事があります。
自己啓発・克己心・やる気・ハングリー精神、というものを若いスタッフに身に付けさせる事です。

出来ないものは、出来ないので、やり方を変えるしかありません。以降、若いスタッフの教育に携わる時は、若い子が楽しい、得をする、為になる、という事を念頭に置いて取り組むようにしてきました。

 

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