答え・・・私もディーラーに習って店販を頑張った事があります。でも、儲かるかどうか分かりません、、、
ちなみにアシスタント時代の私は店販が大嫌いでした。ノルマはあるし、お客様はあからさまに嫌がってるし、店長から『売った金額の1割はお前のバックマージンだぞ』と言われても、『いらないよ、そんなもん』と本気で思っていました。
でも、マネージャー時代はそうもいかず、上からの指示である”商品販売”を実行しないといけません。そこで、某ディーラーさんにアドバイスを頂き”システム販売”というものをやりました。スタッフ個人の販売能力に頼らず、全スタッフがそれぞれの持ち場で決められた事を実行するだけですが、売上は結構上がりました。
シャンプーカットにご来店されたお客様を例に、この”システム販売”を説明していきます。
@シャンプーブースで
お客様をブースにご案内後、シャンプーイスに座って頂きます。イスの横にはワゴンがあり、3種類のシャンプーを置いています。サイズは店販サイズで、「さらさらタイプ、ノーマルタイプ、しっとりタイプ」又は「健康毛タイプ、普通毛タイプ、ダメージ毛タイプ」というように利用目的別に分けていて、お客様から手の届く位置にあります。
・スタッフ・・・「何かヘアケアでお困りの事はありませんか?」
・お客様・・・「なんかちょっとパサつきが出てきた感じが、、、」
・スタッフ・・・「それでは、本日はこちらのパサつきを抑えるしっとりタイプでシャンプーさせて頂きます」
ワゴンからシャンプーをボトルごと手に取り、お客様にお見せします。軽くサッとお見せするくらいにして、シャンプーに入ります。この時のスタッフの言葉は、あらかじめセールストークを作っておき、状況に合わせて言葉を変えていき、最終的に3種類のシャンプーのどれかに行きつくようにしておきます。シャンプー中は商品の説明はせずに、聞かれたら答える程度にします。ここでの目的は「髪や頭皮の状態に合わせたシャンプーを使用した方が良いですよ」みたいな感覚をお客様に持ってもらう事です。シャンプー後、セット面にご案内します。
Aセット面で(カット)
今からカットです、お客様から商品説明を求められるかも知れないので、どのタイプのシャンプーを使ったのかをシャンプーしたスタッフに聞いておきます。ここでのアプローチはしません、シャンプーに興味を持って問い合わせてきたお客様のみに、淡々と効果効能を説明していきます。興味を持っていないお客様にはシャンプーの話はせずに、普通一般的な接客をします。でも、鏡の横にはしっかりとシャンプーの広告用ポップを貼っておきます。
Bセット面で(スタイリング)
さて、カットが終わり今からスタイリングです。スタイリング剤の効果はお客様から見ても分かりやすいので、そこを強調するように「このワックスを付けて、こうすると、こうなります」などと、あたかもスタイリング剤のおかげで、ヘアスタイルが出来るという演出をします。ここでもサロントークを準備しておきます。使用するスタイリング剤は、必ずお客様の手が届く鏡の前やワゴンにスタンバイしておき、そこから手に取って使用しそこに戻します。お客様が勝手に手にとって見る事が出来るという事が重要です。
Cレジカウンターでお支払い
全てのメニューが終わりレジでお支払いです。まず準備としてレジカウンターに商品を陳列しておきます。出来ればワゴンなどを使って大量陳列し、10%引きなどの特典をつけておきます。そして会計に入りますが、
・スタッフ・・・「本日はシャンプーカットで○○円になります」
・お客様・・・「はい○○円ですね」(トレイに現金、クレジットカード等を出します)
このタイミングで(トレイの現金、クレジットカード等はそのままで)
・スタッフ・・・「ただいまへアケア商品がお買い得になっております、何か必要な物はありませんか?」と言いながら商品の方を手で示します。
すると、
・購入意思のあるお客様・・・「じゃ、先ほどのシャンプーをお願いします」
・購入意思の無いお客様・・・「いえ、今のところ大丈夫です」
と、このようにお客様は自分の意思で決める事が出来ます。
ここで大事な事
・お釣りを先に渡すと、次の行動が面倒になる(また財布からお金を出さないといけない)
・大量陳列は『こんなに売れてるんだ〜』と思われ購買意欲を増す
・商品をお客様の手が届くところに陳列する事で、スーパーのような気軽な買い物に感じさせる
レジでのこの販売動作を”クロージング”と呼びます。最初からの流れをまとめると、
・利用目的や髪質に合わせて商品を選ぶ事を知って頂く
・商品の使い方や必要性を実際に見て頂く
・商品が気になったところで特典をつけてお伺いする(押し売りしない)
と、このような流れになるのですが、それぞれのスタッフが自分の持ち場で役割をきちんと果たせば、売上は上がります。販売意識が低かった頃の店販率は、技術売上の3%程度だったのですが、システム販売を行った結果、なんと28%まで上げる事が出来ました。特にクロージングは大切で、最後のスタッフの声掛け「ただいまへアケア商品がお買い得になっております、何か必要な物はありませんか?」が決定打になっています。
さあ売上は上がりました、では利益はどうでしょう?この時の商品の仕入れ金額は7掛けでしたので、30%が利益になるのですが、スタッフへのバックマージンが10%、お客様への割引特典が10%で、差し引くとお店に残るのは10%です。この10%の利益を多いと思うか、少ないと思うかはオーナーさん次第です。大きいお店でしたら大量仕入れをして仕入金額を落とす事も出来ますが、小さいお店だときびしいと思います。分配比率も変えてやってみましたが、バックマージンを減らすとスタッフの士気が落ちます。割引特典を減らすと購入率が落ちます。
デメリットもありました。
・スタッフへのバックマージンは均等割りしていたのですが、もともと販売能力の高いスタッフからは不評でした。
・セールストークを考えたり、ロールプレイングをしたり、何かと手間がかかりました。
・ディーラーさんのアドバイスとはいえ、実行する自分が打算的な人間に思えて嫌でした。
・1番のデメリットはお店の雰囲気が一変した事です。いつもはお客様とスタッフが和気あいあいとした雰囲気だったのが、よそよそしく、ぎくしゃくした雰囲気になってしまいました。そんな感じで、アシスタント時代の時も、マネージャー時代の時も、店販は嫌いでした。
そして、現在はというと、なんと店販やってるんです。
自分のお店を出した頃は店販をする気は全くなかったんですが、自分の好きな商品を業務用として使っていたところ、お客様の方から「そのワックス、買う事出来るの?」「何か良いシャンプー知らない?」と聞かれる事が多くなってきたんです。それで、お店で使っている物だけ販売するようにしています。美容室で商品を勧められるのが嫌なお客様もいれば、良い商品を紹介して欲しいというお客様もいるという事ですね。
極めて個人的な結論ですが、店販アプローチを頑張るとお客様に嫌がられます。嫌がられながら頑張って50,000万円売り上げたとしましょう、この場合の儲けはたった15,000円です。
う〜ん、、、私だったら店販頑張らずに、15,000円分の技術料金を獲得する事を頑張ると思います。
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