美容師がどんな勉強をしているのか紹介します
ある講習会の時のお話です。
○日時・・・忘れました、かなり前のお話です
○場所・・・たぶん博多駅の近く、ディーラーが準備した会場
○講師・・・カリスマ美容師さん達も一目置く凄い先生
会場は大きな会議室に特設ステージを準備したコンサート会場みたいな感じ、客席は簡易的に並べられた折りたたみイス。ステージ上で先生が解説をしていきながらモデルさんをカットしていくティーチイン形式。ファッションショーではないのでランウェイはありません。受講者は100名くらいだろうか?私は遅れて会場入りしたので席が空いてなく、後方の立ち見席から見ていました。
お弟子さん達のパフォーマンスが終わりいよいよ先生登場、準備されていたモデルさんを次々にカットしていきます。この先生が作るヘアスタイルは、美容専門誌でよく紹介されています。見た事のあるスタイルがいくつか出てきて、先生の手際の良さに感心しながら見ていました。まわりの受講者さんたちも「うんうん」とうなずきながら、先生の講習を食い入る様に見ています。
一通り終わったところで先生からの提案がありました。「どなたか飛び入りでモデルをやってみませんか?」
超有名な先生にカットしてもらえるなんて!!!こんなチャンスはめったにありません。会場はざわつきながら、「ハイッ!」「ハイッ!」「ハイッ!」とかなりの方が手を挙げました。そして1人が選ばれステージに上がって行きました。30代くらいの女性、もちろん美容師さん。クロスが掛けられ準備が出来ると、先生はしばらく間を置き、こう言いました。
「今年の夏は暑いから短くしましょう」
そして、いきなりバリカンを出して刈っていったのです、しかも前から。会場の受講者たちは一瞬”目が点”になりつつも、みんな真剣に見ています。先生は刈り方の解説をしながら、どんどん進めていきます。受講者たちは「うんうん」とうなずきながらも真剣に見ています。超有名な先生のやると事ですので誰も否定する事は出来ません。モデルさんも抵抗していません、イヤ出来るはずがありません。結果、仕上がりは”坊主”でした。坊主です、若い女性が坊主頭にされたのです。
この講習会に対する私の見解はこうです。超有名な先生なので、受講者の期待感も大きい、それに答える為にパフォーマンスを行った。それに加えて『日々の営業に慣れてしまうな!創造的であれ!』という先生からのメッセージだ。と自分の頭の中でむりやり良い方向へ脳内変換しました。
モデルさんの坊主は自己責任です、自分からモデルを希望したのでどんな事になっても文句は言えません、この業界では当たり前の事です。でも改めて考えると、明日以降、このモデルさんは自分のサロン周辺で一躍有名になるのではないでしょうか?そういった意味では良かったのかもしれません。
それにしても、気になって仕方ない事があったのですが、「うんうん」とうなずきながら見ていた受講者の方々は、明らかに”坊主”を新作のヘアスタイルとして認識していました。この方達は、明日以降、自分のサロンのお客様に”坊主”を提案したのだろうか?すごく気になります。
もう1つ講習会の時のお話です。
○日時・・・忘れました、これもかなり前のお話です
○場所・・・博多駅の近く、全日空ホテル
○講師・・・アメリカで活躍している日本人美容師(日本語を少し忘れているよう)
会場は全日空ホテルの中、かなり広い、一見たくさんの人数を収容できそうだけど、客席が豪華でゆったりしてるので意外と入れないかも。それでも100名くらいはいただろうか?。今回も解説をしていきながらモデルさんをカットしていくティーチイン形式。
あらかじめ準備されていたモデルさんのカットが一通り終わったところで、今回も先生からの提案がありました。「どなたか飛び入りでモデルをやってみませんか?」
3〜4名くらいの方がステージに上がり先生がカットしていきます。どのスタイルも外国を感じさせるかっこいい仕上がりです。そして最後のモデルさんの番になりました。
実は私、このモデルさんがすごく気になっていたのです。年代は20〜30代の女性美容師さん、飛び入りモデルでステージに上がった時から、すでにもうカッコ良かったのです。ダイアナ妃の若いころみたいなヘアスタイルで、日本人の毛質で表現出来てるという事は、かなりのブローテクニックを持ってる方だと思います。私だったらこのモデルさんをこれ以上カッコ良く出来ません、先生はどんなスタイルをつくっていくのだろうか?!!!
そして、先生はそのモデルさんの横に立ち、こう言いました。
「このモデルさんはカットする必要がありません、もう、カッコ良く仕上がっています。でも、せっかくステージに上がって来てくれたので、イメージチェンジしてみましょう。カッコ良くではなく、軽さを出してみます」
『わくわく』と変化を期待していた私にはちょっと残念でしたが、良い物を良いと認め、不要なパフォーマンスをしない先生にすごく感動し、今まで以上に尊敬するようになってしまいました。
『見栄を張らない自然体のかっこよさ、自分が感じたものを素直に表現する』今回の講習会で私が得たものです。
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