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美容師の日常(仕事編)

 
2020/04/21 - お客様からの質問・・・『おまかせ』ってどうよ?
 

答え・・・イヤです、っていうかお客様によります。

特に、新規のお客様に”おまかせ”って言われると、もうお手上げ状態です。カウンセリングの中で、好みやライフスタイル等を聞き出して参考にしたいのですが、「おまかせ」って言われた途端に何も聞く事が出来なくなって、情報収集が遮断されてしまいます。暗闇の中を手さぐりでさまよってる感じです。

”おまかせ”って言葉は「自分の好きなようにして良いんだ」と美容師は解釈しますが、お客様が言う”おまかせ”はもっといろんな意味があるようです。それはカウンセリング中になんとなく伝わってきます。

タイプ1、『今までの私でない、何かハッとするようなスタイルにしてくれるはず』と期待が大きな方
こんな時は、今してる髪型と正反対のものを勧めてみます。ロングだったらショートを、ストレートだったらくりくりパーマを、可愛い髪型だったら女っぽい髪型をというように。その時のお客様の反応が乗り気だったら、そのまま話を詰めていきますが、「えっ、うそ!」「いや〜、それはちょっと」というような反応をされた場合は、『変わりたいけど冒険したくない』という矛盾した気持ちが見えますので、「変わりたいなら、まず気持から変えてください」と直球で伝えます。ちょっと意地悪かもしれませんが、髪型を大きく変えた時は自信を持って堂々としてた方が素敵に見えます。
『大丈夫かな?みんな何て言うかな?』なんて気にしてるとせっかくのヘアスタイルが台無しになってしまいますので、大きなイメチェンはお勧めしません。

タイプ2、イメージが漠然としてて、どう伝えて良いか分からなくて、とりあえず”おまかせ”って言ってる方
こんな時は部分ごとに聞いていきます。

私・・・前髪は下ろした方が好きですか?それともあげた方が好きですか?
お客様・・・「下ろした方が好きです」

私・・・耳は出した方が好きですか?それとも隠した方が好きですか?
お客様・・・「隠して下さい」

私・・・後の長さはこれくらいでどうです?(バックミラーを見せながら)
お客様・・・「もう少し短い方が良いです」

はい、これでベースの髪型が決まりましたので、あとはバランスを取りながらディティールを決めていけば出来上がりです。

タイプ3、『特に希望は無いから勝手にやって』と思ってる方
ある意味、これが本当の”おまかせ”だと思いますが、もう少し情報が欲しいのでスタイルブックを見せながら「これとこれではどちらが好きですか?」という風に聞きながら、「好き」「嫌い」の反応を見ながらヘアスタイルを絞っていきます。
「好き嫌い」の反応をしてくれず、「いいからあなたの思うようにして」と言われたら、本当に自分の好きなようにさせて頂きます。でも、今してる髪型を大きく変える事はしません。なぜかリスキーな感じがします。

タイプ4、希望の髪形を伝えた後に”おまかせ”って言う方
「前髪はこうして、サイドは流してね、襟足はこれくらいにカットして、、、そしてトップにボリューム出してね、そして、、、後はおまかせ」。たまにこんなオーダーをされる方がいるのですが、こんな時はつい、「もうスタイル決まってるじゃん、この方のおまかせってどんな意図だろう?」と余計な事を考えてしまいます。「希望は伝えた、後はきちんとやって下さいよ」という意味なのか、「おまかせって言ったら、美容師さんが喜んでくれる」と思ってるのだろうかと考えてしまいます。でも、もうスタイルは決まっているので淡々と進めていきます。

タイプ5、美容師どうしの場合
美容師が同僚の髪をカットやカラー等する時は、「おまかせ」って言った方の責任が重くなります(私の環境だけかもしれませんが)。以前、福岡で仕事してた時に同僚のスタッフが「髪切ってあげますよ〜」って言ってきたので、「じゃお願い、おまかせで」と返事すると、返ってきた言葉がこうでした。「おまかせって言った以上、私がどんな髪型を提案してもカッコ良くこなして下さいよ、プロなんだから。たとえそれが坊主でも!」
まさにその通りだと思いました。突然の名言だったので、坊主頭に合うファッションが学生服と袈裟しか思いつかなくてオーダーを変更してしまいました。「坊主以外でおまかせします」と。

私の個人的な考え方かもしれませんが、ヘアスタイルはお客様と美容師が「あ〜だ、こ〜だ」言いながら一緒に考えて、一緒に作っていくものだと思っています。でも美容師同士のような”おまかせ”が可能なら、受けてくれるお客様大歓迎です。

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